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バイオレンスマミーの回2
Uが、自身の母を、バイオレンスマミーと呼んでいたので
勝手ながら私は「うちら3人は『バイオレンスマミーの回』や!」などと思っていました。
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雪がチラつくシーズン、それはAのお誕生月。
Aは家出をして、石川県に流れ着いたという経歴の持ち主で、家出の原因はやはり母親と折り合いが悪かったから。
お誕生日になると毎年
「私は家出をしたが、毎年母親に贈り物をしている。しかし私の誕生日には何もこない。もう死んだも同然の扱いなのであろう」と言います。
家出をするほどだったのに、贈り物をしているというのが意外でした。
そして、毎年同じようなことを言っているので、彼女の中に根深く燻っている何とも言えないモノがあるのだということが分かります。
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ある日のUは、珍しく酒に溺れて酔っ払っていました。
Uのバイオレンスマミーは継母と聞いていたのですが、その酒に溺れた日に、継母に対する気持ちをつらつらと書いていました。
「俺が3才のころに父と継母が再婚した。継母は、ことあるごとに俺を殴った。
連れ子である俺に、どう接して良いかが分からなかったのだと思う。
殴られた記憶は鮮明に覚えている。
その後、父の継母の間に妹が生まれた。
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学生の俺が問題を起こすと、学校まですっとんできて頭をさげてくれた継母。
分からないなりに俺を育ててくれて、妹と変わらない対応をしてくれた継母。
本当は、俺のことを大切に育ててくれたことを、俺は分かっている。
今日は継母の誕生日だから、例年と同じく贈り物をした」
のようなことを書いていました。
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良くも悪くも、みんなの心の中には母という者がコアにいるなと感じたのでした。
かくいう私も、若い頃は母を思い出しては、黒かったり悲しかったりする感情に振り回されてみたりしていました。
今は年齢のせいか図太くなったので、そういうのは消えましたが(笑)
さて、このバイオレンスマミーの会は、AとUが仲違いをしてしまい解散となりました。
私は今でも2人と繋がっておりますが、もう3人で飲みに行ったり、理想の風俗店を作るなら?なんていうロマン溢れる話もできないので、すこし寂しいです。
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無駄な経験はないとは言いますが、しなくていい経験だってあると思います。
私の心を癒してくれた
似た者同士の彼、彼女との出会いで
ようやく「無駄な経験ではなかった、かも」と言えるようになったのかしら、なんて思う今日この頃です。
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