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遺伝
羽田野イロハ、小学4年生
父の右腕から、メロンのような香りがした気がした。
数ヶ月後、父から言われたのは
「実は付き合ってる人がいる」ということ。
当時、まだ母とは離婚していなかったが、家庭はとうの昔に崩壊しているので、個人的に問題はないと思っていた。
その後、父から紹介された恋人は、スーパー美人な外国人「カレン」さん。
彼女は
太ももにドラゴンのタトゥーが入っていて、恐ろしいほどに脚が長くスタイル抜群、そしてロングヘアで、ふんわりと甘い良い香りが漂っていて、歌が上手かった。
けれども私の中には「胡散臭い女」という印象があった。
カレンによる尽くしっぷりは凄かった。
父がガムを噛み、捨てる用の紙を紛失した際、カレンは自分の手を差し出した。
父はそこにガムを吐いた。
汚い。そして愛する人の手を汚してまでガムを捨てたいと思うのが信じられないと私が言うと
「愛の力だ」と宣う。
頭おかしいんじゃねえの、と私は思った。
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両親の離婚が成立してから数年後ののと。
ある日、父は私と兄弟を置いて、カレンが住む国へ渡った。
「お土産買ってくるからな〜♪」と上機嫌で旅立ったのに、帰宅後はやけに暗い。
「すまないが、儂はこれからしばらくはこの調子だと思う」と宣誓された。
ひと月くらい経ち、父の口から
「カレンに騙されていた」という話を聞いた。
言わんこっちゃねえ、どっからどう見ても胡散臭えだろうが!と思った。
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先日の台湾人の件があり、嗅覚が鈍ったなと思った😞
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